電気じかけの制作記 その10
これまで2ヶ月に渡って書いて来たportableのTMトリビュート制作記、今回で最終回です(まだ続いてたんかい!)。
これは1回目を書いた時点から想定していたプログラムの実行に他なりません(嘘)。
そんなわけで、すっかり間が空いてしまいましたが、最後はライナーノーツ的なもので締めようと思います。
♪Bang The Gong
「いかにもTM!」なリフとエレクトロハウスなサウンドが予想通り上手く融合できたと思ってます。BPMはハウスの王道128。サウンドは違いますが、雰囲気として「FANKS CRY-MAX」のオープンニングみたいな役割を果たせればいいな〜と妄想しながら作りましたw。歌モノという制限がない分、ちょっと遊び要素を入れたくて「All-Right All-Night」の間奏を入れてみたり。オーライのシンセソロはルイさんが拘って何度も弾き直し、そのMIDI を加工してミックスしました。その拘りとは「上手過ぎてもダメ。先生らしいルーズなプレイを再現」ってことでw。最初は、他にも「Fighting」「Vampire Hunter D」など色々入れようと計画していたんですが、諸々の事情で断念。今となっては、やり過ぎずに済んでよかったと思います。1曲目からそんなにクドいの聴かされたらたまったもんじゃないですからね。とりあえず、TMらしいオープニングの雰囲気は出せたかな?と自負してます。
♪1974
僕にとってTMと言えば「1974」。決して「Get Wild」ではないのです。そしてFANKSならご存知の方も多いと思いますが、当時、札幌で大ブレークした曲でもあります。札幌で活動する我々が、この曲をやらなくてどうする!!という意思も含めて、「やらない理由」が見当たらない曲でした。
SFチックな曲なので、SEやボコーダーでその雰囲気を継承し、定番シーケンスフレーズも残しながら、新たな解釈を加えた感じの仕上がりです。間奏部には、原曲にはないけど、「ありそうな」展開を盛り込んで遊んでみました。ルイさんが弾いたシンセソロに小室(?)節が炸裂してると思いますがいかがでしょうか?
原曲の味と自分達らしさ、そしてFANKS魂が程よいバランスで無難にまとまった秀作だと思ってます。
♪Here,There & Everywhere
最初に作ったデモのイメージのまま完成まで行きました。逆に他の曲は、制作過程でいくつもの大幅な変更が発生してます。
このアレンジを聴いて「あ!○○っぽい」て思う人が大半だと思うのですが、その通りでしょうね。作った本人が意識してやってますからw。その方法論に賛否はあると思いますが、僕がこの曲で表現したかったのは、「世間がイメージする小室節とは異なる、現代でも通用する秀逸なメロディー」に尽きます。その為には、「ザ・80年代」なオリジナルのアレンジを継承し過ぎること、逆に、マニアックに斬新なことをやり過ぎることは逆効果だと考えました。名曲はギター1本、ピアノ1本でも通用するというのは、よく言われることですが、今回の企画の場合、その方法は無理。その発想の流用として考えたのが、現代の主流(その判断も微妙ですが)となっているフォーマットにハメ込むことで、メロディーの秀逸さだけを浮き彫りにするということ。その意図を汲み取ってもらえると幸いです。まあ、自分がそのサウンドをやってみたかったというのも多分にありますがw。ちなみに、このサウンドにハモンドオルガンを乗せるというのは、TMトリビュートじゃなければ考えもしない発想ですねw
♪Human System
最後の最後までアレンジが固まらなかった曲です。制作過程で10パターン以上生まれたと思います。最初、他の曲は転調が多いので「ループ感」を出すのが難しいのに対し、この曲はCメロ、間奏以外に転調がないので、ループ感バリバリでコード変化少なめなアレンジにしようと思ってました。しかし、それはそれでカッコ良くなりそうだった反面、この曲がもつメッセージ性が弱まってしまうという大きな懸念がありました。また、折角の「小室コード進行の王道」なサビを活かさないわけに行かないという思いもあり、コード展開はオリジナルに沿った上で、違ったサウンドにする方向性へと途中で変更。完成形は、なんだかんだとJ-POP的になってしまいましたが、目指したのはプログレッシヴハウス風のサウンド。なんとなく「やりたいことは分かる気がする」程度に思ってただけると幸いです。他にも、いろいろと悩みが絶えなかった曲で、トルコ行進曲をどこに挿入しようか試行錯誤したり、ベースラインは、全10パターンくらいを全部並べて切り貼りし、Aメロ前半はコレ、後半はコレ・・・・・という具合で様々な組み合わせを経て決まりました。見せ場のエンディングのコーラス部分は3声×各2本で計6本の歌をレコーディングし、さらに、その6本の声質を微妙に変化させたものを重ね、計12本の歌が鳴ってます。コーラス1回目は6本、2回目(ベースが入ってくるところ)から12本に倍増する仕掛けになってます。気にして聴いてみて下さい。コーラスと言えば、原曲にはないハモリをサビで上下に加えてますね。本来はエモーショナルな曲ですが、僕らのversionでは、無機質に淡々と歌うこと+ハモリで、別の角度から曲のメッセージ性を引き立たせることが出来たのではないかと思ったりしてます。いかがでしょうか?
長い間ご愛読(?)ありがとうございました。
このTMトリビュートの経験を活かし、portableとして再びオリジナル曲の制作に戻ります。また機会がありましたら、「どんなことやってるのかな?」と冷やかし半分で聴いてもらえると嬉しいです。
ところで小室先生は聴いてくれたかな??
完
>>「電気じかけの制作記」まとめはこちら
『WE LOVE TM NETWORK』特設myspace↓
http://www.myspace.com/welovetmnetwork
« クラシックアルバムズ from youtube | トップページ | チップチューンなTM »
「WE LOVE TM NETWORK 制作記」カテゴリの記事
- 電気じかけの制作記 その10(2009.05.17)
- 電気じかけの制作記 その9(2009.04.17)
- 電気じかけの制作記 その8(2009.04.02)
- 電気じかけの制作記 その7(2009.03.22)
- 電気じかけの制作記 その6(2009.03.18)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 電気じかけの制作記 その10:
» portableがTM NETWORKのトリビュートアルバムに参加 [WebbyRock]
発売されてからすでに1ヶ月近く経ちますが、大学時代所属していたサークルの大先であるたつさんが、同じく同じサークルの先輩である2人と一緒にportable名義で、TM NETWORKのトリビュートアルバムに参加しました。... [続きを読む]
お疲れ様でした。制作記、プログラムの実行、って(笑)最初からウケました。
色々あったんですね~。音楽制作凄いなぁ。
小室先生、聴いてくれてますよね。
TMへの溢れる愛、届いてますように!
投稿: maki | 2009年5月17日 (日) 22:13
先生、聴いてくれてたら嬉しいね~
ミックス下手過ぎにも程がある!と思われそうだけどw。
投稿: たつ | 2009年5月18日 (月) 12:40