【書評】 クックパッドというビジネス
600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス
おすすめ平均
日本の20~30代女性の3人に1人が利用しているという
クックパッド
昨今、秀逸なビジネスモデルが非常に注目を集めている企業ですが、僕も個人的に興味津津で、本書を読んでみました。
ビジネスモデルやシステム系に注目されがちな企業ですが、本を読んでみて感じたのは、ブレないビジョン、ポリシーの強固さ、そして熱さです。非常に感銘を受けました。
引用しながら一部紹介します。
まず、クックパッドのビジョンは
毎日の料理を楽しみにすることで、
心からの笑顔を増やす。
となっています。
その想いに至る社長さんの物語は割愛しますが、このビジョンがブレないエピソードのひとつがコレ。ユーザーから掲示板設置の要望が多いにも関わらず、それを実施しない理由は・・・・
「料理が好きなユーザーさんがたくさんいます。この調味料についてどう思うか、なんて議論をすれば、白熱するでしょう。実際、要望があるのも事実。でも、そんな議論をしたところで料理がおいしくなるでしょうか。その調味料がいいか、悪いかなんて、どうでもいいことです。大事なことは、おいしく作れることです。自分が嫌なら使わなければいいし、いいと思えば使えばいい。どういうわけだか、みんな必ずいいか悪いか、という結論を出したがるんですね。そして、どちらかの意見が出ると、反論をしたくなる。でも、そんなことは、おいしい料理とは全然関係がないと思いませんか。大事なことは、多様な価値観がちゃんと共存できること。それぞれの人が、それぞれおいしい、と思えることです。」納得ですね~。
そして、ネット上で荒れる議論のほとんどが、この原理で発生している現状、重要な考え方だと思います。
印象に残った言葉。
社会のひとつのファンクションになりたいと願った社長さんの答え。
「いろいろ考えて、世の中を動かす要素って、三つじゃないか、と思ったんですね。ひとつはテクノロジー。例えば電話ができた、車ができた、テレビができた、と。そしてもうひとつは、個人の認識が変わること。みんながこうだ、と思ったら、そっちの方向に変わっていくでしょう。そしてもうひとつが、政策、だと思ったんです。道の幅はこれにしましょう、右側通行にしましょう、と決めた瞬間に世の中は変わる」
社長さんが抱いた本質的な疑問
今の世の中の延長線上に、
スカッとした笑顔がでてくるのか??
個人的にとても共感したエンジニアの考え
何日もかけて作ったプログラムを、あっさり捨ててしまうことも珍しいことではない。
「それをやっていく過程のなかで、見えてくるものがあったり、ゴールに対して相関が高いものが見つかったりするんです。完成したものから見ると、一見捨てた90%は無駄のように見えるんですが、そうじゃない。ゴールまでの進み方がわかっていないときの90%というのは実はものすごく重要で、これがなかったらゴールには辿りつけない。もちろん、効率よくゴールに近づく工夫はすべきですが、やっぱりちゃんとチャレンジをしてたくさん捨てる覚悟でやっていかなければ、高いレベルの技術には到達できないと思っています。とにかく一発で当てるのではなく、たくさん試す。それが、ゴールに行き着くための最短の方法を僕は思っています」
僕もクリエイターの端くれとして、この考え方は本当に共感します。ミクロな視点で捉え、「手間を最小限にすること」を効率と考えるのか?それともマクロな視点からベストゴールへ辿りつくための「真の効率」とはなんなのか?
最も大切にしたい考え方。
新オフィスの改築に際しての業者選定の考え方
「大事なのは、きちんとロジックがあることです。でも、残念ながら日本には、建築の世界でもアーチストがたくさん混ざっている。デザイナーとアーチストはまったく違うんです。ロジックがあるのがデザイナー。なぜこのドアはこっちへ開くべきなのか。軸はどっちにあるべきなのか。動線の撮り方や視線の取り方。それをプロのデザイナーはよくわかっています。ロジックのないアーチストには、僕はまったく興味がありません。会社として貴重なお金を投資するのに、目標目的に合致したこと以外はできません。」
このアーチストとデザイナーの定義はイイですね。
と、全く脈略のない抜粋でw、どんな本かわかりにくいと思いますが、是非一読して欲しい良書です。
最後に、クックパッド社の仕事の基準。
明確ですね。これからの時代における重要な思想だと思います。
好きでもないこと、得意でもないことを嫌々やったって、世の中にとっての価値を生み出すなんて到底無理だし、誰かを幸せにすることなんかできませんからね。そして、儲からなければビジネスではないし。
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コメント
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やりたい できる やるべき
これ、すごい!!!おもわず手帳にメモりました。
投稿: 紫 | 2010年6月 8日 (火) 17:51
紫さん>
コレいいよね。
実にシンプル!
モノやサービスが飽和状態の現代において、
こういう発想で生まれたモノのみが
イノベーションを起こせるんだと思う。
投稿: たつ | 2010年6月 8日 (火) 20:37